多重債務(借金)整理の解決方法を紹介
近年、学生から高齢者まで多くの方が手軽に借り入れをすることができるようになりました。借金というとあまり良いイメージではないかもしれませんが、多くの企業は借金をして経営を回していますし、国も借金をしています。
もちろん事業者や個人でも借金をうまく利用している人も多いでしょう。
しかし、いつのまにかかさんでしまった借金や意図しない利子の支払いなど、当人だけの責任ではないケースも含め、トラブルも尽きないのが現状です。
では、単純に借金を抱えすぎてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
人によって合う合わないなどがありますので、比較しながら最適な解決方法を探ってみましょう。
1. 自己破産
一番初めに自己破産を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
自己破産とは
自己破産とは、裁判所に申し立て手続きをして、自分の持っているすべての債務を免除 (免責)してもらうことを言います。
簡単には自己破産できない
自己破産するためには、過去の借金をした経緯を調べ裁判所に報告しなければなりません。それだけでなく、今現在の家計 (生計)がどのような状況か、自分の持っているもしくはあり得る資産も報告する必要があり、手続きはとっても面倒。
自己破産のメリットとデメリット
税金や養育費などの免除されないお金の問題 (債権・非免責債権)を除いてすべての債務が免除されます。何もなかったかのようにまっさらな状態になります。
しかし「自己破産はすると人生が終わる」といったイメージを抱いている方も多いかと思います。
では、どのようなリスクやデメリットがあるのでしょうか。
1. 数年にわたり借り入れはできない
2. 積み上げてきた20万円以上の財産が清算される (車など保有できない)
3. 手続き中、職業や資格の制限がかかる
4. 住所氏名とともに官報に掲載されてしまう
5. 免責不許可になる可能性もある (ギャンブルや浪費など)
2. 任意整理
自己破産についてどのような印象がどのように変わったでしょうか?ここではあえて細かい説明は省きましたが、ざっと一覧をみただけで、それほど重いイメージではなくなったとか、やはり自己破産は避けたいなどといった感想を持たれるかもしれません。
そこで任意整理について説明いたします。
任意整理とは
裁判手続き関係なしに司法書士が代理人となり、債権者 (借金をした者や会社など)との交渉によって返済条件を改善する方法です。
すべての借金が帳消しにはならないことが多い
任意整理はあくまで司法書士との交渉によって債務を軽減することが目的とする場合が多いです。借金の元本は帳消しにはできず、今後の利息や借金の残高をより分割して返済するというような和解案の交渉となります。
任意整理のメリットとデメリット
毎月の返済額が減るのである程度返済能力がある方にとっては生活を犠牲にすることなく完済できる可能性が出てきます。また将来利息をなくすことによって実際の借金総額よりも大幅に返済額を減らすことが期待できます。
デメリットは、ほとんどの場合は借金は返し続けなければならないということ。でもこれはデメリットとまでは言いませんよね。
3. 個人再生
もう少し金額が下がれば返せそうだけれど…という方には任意整理は有効ですね。
では他にはどのような解決方法があるでしょうか。
個人再生とは
裁判所に申し立て手続きをして債務を減額してもらいます。
減額後の残高を原則では3年で分割払いをするという方法です。
実際に減額される借金の額は、原則5分の1ほどまで減ります。
個人再生のメリット
裁判所での申し立てで大幅な減額が期待できます。個人再生は一定の条件が揃えば住宅ローン以外の借金を減額できます。
デメリットは手続きが面倒なことと、100万円以下の借金には減額されないことです。
4. 消滅時効
自己破産と借金減額の方法を学びました。それでは最後の解決方法に進みますね。
消滅時効とは
一定期間権利が行使がされない場合に、行使ができないことになります。つまり借金にも時効があるのですね。
5年~10年借金を返済をせずにいた場合で、債務に対して裁判などによる時効期間の延長もされていない場合、「消滅時効の援用」を利用することで借金を帳消しにすることができるのです。
消滅時効のメリットとデメリット
借金が消滅する夢のような話ですが、制度としては有用です。特に個人間の貸した借りたなどもそうですが、時間が経ち過ぎてしまった後に債務返済を求められた場合にも期待できます。
しかし、貸した側が弁護士をたてていたり、裁判によって別の案件を発していた場合は、簡単な話ではありませんので、ぜひ相談にお越しください。
債務整理の共通するメリット・デメリット
これらの手続きにはすべて共通するメリットとデメリットがあります。
メリット:
借金が減ったり免除されたり消滅したりすることです。
デメリット:
当人の信用情報に記録が登録されるということです。世間で俗に言われるブラックリストのようなものとしてお考え下さい。登録される期間は手続きごとに異なります。
債務整理解決方法の比較一覧
自己破産 | 個人再生 | 任意整理 | |
---|---|---|---|
借金の減免 | ・借金すべてが免除 | ・借金は原則5分の1に減額。 ・最大で9割免除のこともある。 |
・多くは将来利息のみ免除。 ・債務自体は免除されない。 |
債権者を選んで 手続き |
できない | できない | できる |
信用事故やブラックリスト登録 | 登録される | 登録される | 登録される |
家族に内緒で手続き | ほぼできない | ほぼできない | できる |
持ち家 | 保有できない | 条件により保有できる | 保有できる |
官報公告 | される | される | される |
職業制限の有無 | ある | なし | なし |